DMARCレポートの読み方とGmailフィルタでの整理
ある朝、Googleから「Report domain: votre-domaine.fr Submitter: google.com Report-ID: …」という件名で圧縮ファイル付きのメールが届きます。翌日はMicrosoft、その次はYahooなどからも同様のメールが。説明文はなく、ファイルだけ。フィッシング? 不正アクセス? いいえ、これはDMARC集計レポートで、むしろ正常な仕組みです。
レポートの意味、2分で読む方法、そしてGmailのあまり知られていないXMLファイルからのフィルタのインポートを使って、削除せずに受信トレイから整理する方法を紹介します。
30秒でわかるDMARC
サーバーがvotre-domaine.frから送信されたと称するメールを受け取ると、次の2点を確認します。
- SPF:送信元IPアドレスは、そのドメインが許可したサーバーの一覧に含まれるか。
- DKIM:ドメインの鍵を持つサーバーが付けた有効な暗号署名があるか。
DMARCは両者をまとめる仕組みです。少なくとも一方が成功し、かつ受信者に表示される「From:」のドメインと一致(アラインメント)する必要があります。失敗時の処理も、_dmarc.votre-domaine.frに置くDNSのTXTレコードで指定します。
v=DMARC1; p=none; rua=mailto:dmarc@votre-domaine.frpはポリシーを表し、noneは監視のみ、quarantineは迷惑メールへの隔離、rejectは受信拒否です。そして不思議なメールの原因がruaです。
レポートが届く理由
ruaはreporting URI for aggregate reportsの略です。主要なメール事業者に対し、あなたのドメイン名で受信したメールの集計を通常1日1回送るよう指定します。届いているなら、この項目にあなたのアドレスが登録されています。
自分で設定したとは限りません。2024年2月以降、GmailとYahooは大量送信者にDMARCレコードを求めています。ホスティング会社や設定ツールが自動作成し、ruaにドメインの連絡先を入れる場合があるため、突然レポートが届きます。
重要なのは、レポートは警告ではないということ。すべて正常でもGoogleは送信します。異常通知ではなく定期的な記録です。
専用ツールなしで読む
添付は圧縮されたXMLです。Googleは.zip、Microsoftなどは.gzが一般的です。展開してブラウザーかテキストエディターで開きます。冒頭には送信元と対象期間があり、Unixタイムスタンプはオンラインで日時に変換できます。各<record>は次の形式です。
<record>
<row>
<source_ip>203.0.113.25</source_ip>
<count>14</count>
<policy_evaluated>
<disposition>none</disposition>
<dkim>pass</dkim>
<spf>fail</spf>
</policy_evaluated>
</row>
<identifiers>
<header_from>votre-domaine.fr</header_from>
</identifiers>
</record>これはIPアドレス203.0.113.25から、あなたのドメイン名で14通送られたという意味です。DKIMは成功、SPFは失敗ですが、一方が有効ならDMARCは通ります。dispositionは受信側の処理で、noneなら通常どおり配信されています。
覚えておきたい3つのパターン
- メール事業者のIPからすべて
pass:正常なので対応は不要です。 - SPFは失敗、DKIMは成功:自動転送やメーリングリストではよくあります。別サーバーから再送されても、DKIMが有効なら通過できます。
- 未知のIPからすべて
fail:未登録の正規ツール(メルマガ、CRM、サイト通知)か、ドメインのなりすましかもしれません。IPを調べると判断しやすくなります。
複数ドメインや大量のメールを扱うなら、Postmark、dmarcian、EasyDMARCなどがレポートを見やすいダッシュボードに変換します。無料プランがある場合もあります。ruaを指定されたアドレスに変更するだけです。
XMLからGmailフィルタを取り込む
問題が起きたときには便利なレポートですが、毎日受信トレイに置く必要はありません。手作業でフィルタを作るより簡単なのが、Gmailの作成済みフィルタのインポートです。エクスポートと同じXML形式なので、別アカウントにも数クリックで再設定できます。
以下をテキストファイルにコピーし、filtre-dmarc.xmlという名前で保存してください。
<?xml version='1.0' encoding='UTF-8'?>
<feed xmlns='[http://www.w3.org/2005/Atom](http://www.w3.org/2005/Atom)' xmlns:apps='[http://schemas.google.com/apps/2006](http://schemas.google.com/apps/2006)'>
<title>Mail Filters</title>
<id>tag:mail.google.com,2008:filters:1</id>
<updated>2026-11-06T12:00:00Z</updated>
<entry>
<category term='filter'></category>
<title>Mail Filter</title>
<id>tag:mail.google.com,2008:filter:1</id>
<updated>2026-11-06T12:00:00Z</updated>
<content></content>
<apps:property name='subject' value='"Report domain"'/>
<apps:property name='hasAttachment' value='true'/>
<apps:property name='label' value='Rapports DMARC'/>
<apps:property name='shouldArchive' value='true'/>
<apps:property name='shouldMarkAsRead' value='true'/>
<apps:property name='shouldNeverSpam' value='true'/>
</entry>
</feed>条件は、DMARC規格で推奨されGoogleやMicrosoftなどが使う件名「Report domain」と、添付ファイルの存在です。該当メールに「Rapports DMARC」ラベルを付け、受信トレイからアーカイブし、既読にして迷惑メール扱いを防ぎます。
フィルタのインポート手順
- まずGmailでRapports DMARCというラベルを作ります(左側の「ラベル」の+)。
- 右上の歯車をクリックし、すべての設定を表示を選びます。
- フィルタとブロック中のアドレスタブを開きます。
- 一番下のフィルタをインポートから
filtre-dmarc.xmlを選び、ファイルを開くをクリックします。 - 検出されたフィルタが表示されます。過去のレポートも整理するには新しいフィルタを既存のスレッドにも適用するを選び、フィルタを作成で確定します。
1つのファイルに複数の<entry>を含められるので、ルールをまとめて別アカウントへ移行できます。実際の形式を確認したければ、同じタブで既存のフィルタを選択し、エクスポートをクリックするとXMLが取得できます。
今後一切受け取りたくない場合
DMARCレコード自体は削除しないでください。ドメインのなりすまし対策であり、GmailやYahooへの配信にも重要です。DNSゾーンのTXTレコード_dmarcからrua=…だけを削除するか、専用アドレスに変更します。変更が反映されれば、通常24~48時間でレポートは止まります。
ただし、数週間はラベル内に保管することをおすすめします。送信ツールがすべて正しく設定されているか確認してから、p=noneをp=quarantine、さらにp=rejectへ強化しましょう。これがなりすましへの本格的な対策です。
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